2010.11/18(Thu)

【アビナヤ】と【龍の門】 

23日の発表会にむけて、お稽古が着々と進んでいます。

インド舞踊サナトクマラでは、入門3年目を迎えた方にソロパートを踊って頂くことになっておりまして、今回、古典舞踊バラタナティヤムではアビナヤ中心の曲目「シャブダム」を4名で分割してつとめていただくことに。

昨日はその補習でしたが、なかなかいい感じになってきました。

「アビナヤ」というのは「古典舞踊でみられる顔の表情のテクニック」ですが、実はその言い方は適切とは思えません。


インドで舞台を観て、アビナヤについて感想を言う時には

たとえば

「She had アビナヤ」または「She made アビナヤ」などとは言いません。

「It came」(アビナヤがあった)

と言います

舞台が進行するにつれダンサーの感情が高まると
そのアビナヤはどんどん濃く深く、周りの景色さえ変えそうな強さをもってきます

すると 観客たちは

「Ya! It's coming!」(アビナヤがでてきた)

と 喜んだりします。


今日のダンサーはうまくアビナヤをこなしたわね…ではなく
今日の舞台では「アビナヤがあったわね」あれはいいダンサーだったわ

と言うわけです。

つまり
アビナヤとは人間が表情筋を駆使して作るテクニックではなくて、
それ自身が独立した単体のように語られるものなのです。

ここまでタイプして、ふと、どう説明して良いのか分からなくなりました。

ダンサーは人間として舞台に存在していますが
同時にこの世のものならぬ何かでもあらねばならないのでしょうか?

とても説明しにくい話です。





では、私がどのようにアビナヤを学んだかをお話させて下さい。


私のK.P.ヤショーダ師によるアビナヤ曲のレッスンはとても厳しいものです。

「可愛く見せたい」「カッコよく決めたい」「先生にほめられたい」…etc.という「欲求」が
顔に出ていると、めちゃくちゃ怒られたものです。


とにかく「人間の欲求」から来るものを全て排除するよう要求されますので

自分の全てを否定されたように感じて悲しいのと、
自分が見栄っ張りで助平だと感じて情けなくなるのとで、とにかく辛いものなのです。


師匠が事あるごとにおっしゃっていたのですが、

そもそもアジアの寺院舞踊ではダンサーは添え物で、そこにおわす神が主人公だとのこと。
雅楽の師匠も同じことを仰せでしたが、ダンサーは舞台の天井や柱と同じように舞台の1構成物で、
神の存在をお客さまにお見せするために在るのだそうです。

それには「うまいと言われたい」などなどという「人間らしさ」を排除することが必要で
もうどう見られたってかまわないと開き直れるくらい修練を積み、少なくとも技術面を充実させることが
ただ一つの道だと教えて頂きました。

そして

私も自分のクラスでは同じようにお教えしています。
テレビでは「おもろいせんせい」と紹介される私ですが、実際は結構ストリクトです。

特に古典舞踊では。

~~つくり笑顔を顔にぶらさげるくらいやったら無表情のほうがマシやわ~~
~~そんなつくった顔で舞台にあがるの?お客様を安く見積もったらあかんよ~~

などと酷いことを言ったこともありました。
ごめんねえ 一生懸命なのはよくよくよく 解っています。

だけど、今の私にはアビナヤの稽古の時に「甘え」があると
ダンサーの成長が止まってしまうのが、これもよくよくよく解っています。

血が出るほどの痛みとともに「人間の欲求」を感性からひきはがし
そこから少しずつ「光」が漏れ出てくるのを感じること…
ひきはがしてひきはがして…ひきはがしてみれば、実は私たちは「光の柱」であり
上は天に下は地につながっていて…自分たち人間はそもそも巫(かんなぎ)であったのだと
気づくことがいちばん大切なことなんです。


みなが痛みを感じてしんどそうなのを感じると、私もしんどいけど
でもね、しんどいことばかりではありませんよ





これは今年2010年7月18日「神戸みなとまつり」での一場面。
古典舞踊クラスの人に向けアビナヤのお稽古用に創作した曲目を踊っているところです。

笑顔で踊ってはいますが、実はこの歌のバックグラウンドには
深い悲しみや諦念があるのをダンサーたちはちゃんと理解しています。


踊りがはじまると、何か強いエナジーが舞台から広がってきました。
それは重く深く空気をビリビリふるわせるようなもので、客席にいる私にも確かに伝わり
会場全体をふるわせるようでした。

思わず皮膚が粟立つのを感じ、そして涙がこぼれてきて
まだまだ伸びしろはあるというものの、つくりものではない、いいアビナヤで大変感動しました。


それからというもの、私はひそかに…自分だけのアビナヤの定義をつくっています。

それは

【アビナヤは龍の門】

というものです。


前述の舞台で、彼らが発した空気をビリビリとふるわせるエナジーを感じた時、
私はふと遠く深く海底に眠る龍を思い浮かべました。

眠る巨大な竜が夢うつつにしっぽを軽くゆすってみたら、それが海を振動させ
その振動が、あの時私たちがいた海辺の舞台まで伝わってきた場面がありありと頭に浮かんだのです。

今も一生懸命技術を磨き、人間の欲求から(そうしたい時に)自由になれるときがきたら
彼らは舞台の天井となり、柱となり、そして龍を舞台に招きだす【龍の門】となるのでしょう。




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